現役研究者が解説!化学メーカー分析①レゾナック

現役研究視点での化学メーカー分析第一弾として、ポスト半導体素材企業を目指すレゾナックについて分析します。

目次

動画で説明:現役研究者が解説!化学メーカー分析①レゾナック

レゾナックの概要

まずはレゾナックの概要から紹介していきます。

レゾナックの正式名称は、株式会社レゾナックホールディングスです。昭和電工と日立化成工業が合併してできた大手総合化学メーカーで、日本では数少ない売上1兆円規模のメーカーになります。

売上高としては世界のTop50にランクインしており、日本では9番目の規模です。

事業領域は非常に幅広く、石油化学、黒鉛製品、電気化学、そしてライフサイエンス分野にまで及びます。

レゾナックの歴史

そんなレゾナックの歴史を振り返ってみます。

昭和電工サイドから見ると、1908年にヨードの製造を行う総房水産を設立したのが走りになっています。1926年には日本沃度を設立し、本格的に事業を広げました。

その後は電気化学、無機化学、有機化学と幅広い分野で製品ラインナップを広げてきていますが、今の機能性化学の源流となっているのは1937年の理研琥珀工業設立といわれています。

その後に数々の合成樹脂を立ち上げたのちに、1969年に昭和高分子を設立します。昭和高分子は長らく昭和電工とは別会社でしたが、2010年に吸収合併してからは機能性化学の色が濃くなっていきます。

一方、日立化成工業サイドから見てみますと、日立製作所の一研究部門として電気絶縁ワニスの研究を開始したことがスタートになります。その後1962年に日立化成工業を設立し、現在も現役の製品を数多く輩出していました。

ところが、日立化成の機能性化学は本体の日立製作所とのシナジーが生み出しにくい状態になっていったところにリーマンショックがあり、本体との風向きが変わったといわれています。

そして2019年に日立化成工業のTOBが設立して昭和電工マテリアルズになり、2023年に吸収合併してレゾナックHDが誕生しています。

レゾナックの事業セグメント構成

巨大企業レゾナックの事業セグメント構成を解説します。

レゾナックは半導体や電子材料が中心の素材メーカーというイメージが強いですが、売上高ベースでいうとケミカル、つまり石化が最も多いです。

この記事では、化学系の材料を中心に、以下の4つのセグメントに分けて上から順に解説していきます。

  1. ケミカル
  2. イノベーション材料
  3. モビリティ
  4. 半導体・電子材料

化学系製品①ケミカル

最初に紹介するのはケミカルです。

石化と黒鉛電極がカテゴライズされており、石化は化学品用途と燃料・産業用に分類されています。

レゾナックは酢酸関連の誘導品が多めです。

また、他のメーカーはこういった基礎化学品は近年赤字体質ですが、レゾナックの石化はプラス幅がそれなりにあるという特色があります。

化学系製品②イノベーション材料

2つ目のセグメントは、イノベーション材料です。

化学品が関連するのは主に機能性モノマー、樹脂材料と機能性樹脂、そしてテープや接着剤になります。

機能性モノマー

特殊モノマーの取り扱いが多く、レゾナックにしかないユニークな製品を数多く保有しています。

樹脂材料・機能性樹脂
ポリイミド、エポキシ、アクリル、ウレタンなど、多種多様な樹脂のラインナップがあり、その取扱いの幅は大手総合化学企業の中でも広いほうです。

テープや接着剤

自社製品の一部をテープや接着剤にして川下展開しています。
例えば、テープには合成樹脂エマルジョンが、接着剤にはウレタン樹脂が使われています。

このように、1つ目のセグメントで取り上げたケミカルを土台に、ユニークかつ幅広い材料を設計し、川下まで展開する、この総合力がレゾナックの地力の強さを支えています

化学系製品③モビリティ

セグメントの3つ目は、モビリティ分野です。

要は自動車部品ですが、化学品として考えた場合は成形品の部品供給が中心になります。

自動車用途は部品によって要求性能が大きく異なりますが、レゾナックは豊富な材料を保有していることを強みに、部品に応じて最適な樹脂を利用しています。

例えば樹脂ギアの重要な特性耐熱性が必要なのでポリアミノアミド樹脂や、熱硬化性樹脂の代表格であるフェノール樹脂を使用するなどです。

また、外装材では樹脂製バックドアやバンパー、内装ではドアトリムなどを手掛けていますが、これらの原料はポリプロピレン、つまりケミカルセグメントで製造しているプロピレンが原料となっています。

このようにただ単に自動車部品を納めているわけではなく、自社の化学製品を土台にしたラインナップになっています。

化学系製品④半導体・電子材料

技術の下支えがあるセグメントとして最も顕著なのが4つ目の半導体・電子材料です。こちらはレゾナックの看板分野となっています。

連日ニュースで取り上げられている通り、半導体分野は今後成長する分野と期待されていますね。

半導体分野で、レゾナックは世界シェアトップクラスの製品を複数保有しています。

これらの製品の原材料を見てみると、半導体用素材の多くが有機化学品、具体的には機能性樹脂やモノマーといった材料が中心となっています。特にエポキシ樹脂が多いです。

このように、レゾナックが半導体・電子材料分野に特化する姿勢は、単なるトレンド追随ではありません。レゾナックの強みである豊富な製品ラインナップが、その方向性を支えています。

これにより、レゾナックは確かな勝ち筋を持ち、高い市場シェアを築き上げています。

レゾナックの強さ

ここからはレゾナックの強みについて現役研究員の視点から考察していきます。

レゾナックの強みは、以下の3つ。

  1. 大胆な構造改革の行動力
  2. 製品のトータル提案
  3. ソリューション提案

①大胆な構造改革の行動力

まず1つ目は、大胆な構造改革を進める行動力です。

レゾナックは2030年には半導体・電子材料のポートフォリオ比率を45%以上にするべく、成長事業への集中的な投資を行っています。

この集中投資を進めるところも充分すごいですが、さらにすごいのは不要な事業を切る力です。

不採算部門の整理はもちろんのこと、利益が出ているところでも成長事業とのシナジーが薄いと判断したら売却しています。

②製品のトータル提案

2つ目の強みは、製品をトータル提案できることです。

トータル提案の話をする前に、半導体材料プレイヤーについて説明します。

A社とB社はほぼシリコンウエハーと書かれているのでおそらく信越化学とSUMCOのことです。

レゾナックが強味を持つ半導体材料ですが、全体でみると3位に位置付けられています。

半導体の性能面では、半導体自体を製造する前工程が特に重要といわれているため、前工程の開発が盛んにおこなわれていますが、技術的には性能向上に限界が来つつあるとも言われています。

次の技術進歩として、半導体のパッケージ工程である後工程への期待が高まっている形です。

レゾナックは後工程に注目し、この後工程で世界トップを取りに行っています。現時点では2位にトリプルスコアをつけるほどの圧倒的な差があります。

上図は半導体後工程と、使用する半導体材料です。

個別の材料に言及するとそれだけで動画数本分になってしまうので控えますが、半導体をパッケージングする構成にはあらゆる材料が必要になることがわかります。

レゾナックはこれらをまとめて提供できるというわけです。

ユーザーからすれば、ある材料はA社、違う材料はB社とばらばらにするよりは、必要な材料をまとめて同じ会社に頼める方が負担も少ないですし、何か不具合があった時のかみ合わせも含めた調査依頼を出せるなどメリットが大きいです。

このようなトータル提案ができることが、レゾナックの強みになります。

③ソリューション提案

そして3つ目の強みがソリューション提案です。

ソリューション提案
ただ単に製品を売る部品売りに留まるのではなく、使用する方法、システムまで提案する売り方のことを指す。
レゾナックが提唱している呼び名。

ここではパワーモジュールを例に説明します。パワーモジュール用のペーストやコート剤を提供するときには、評価をユーザー任せにするのではなく、自社の多彩な材料を活用して実際にパワーモジュールを作って評価してしまいます。

そして、レゾナックには手が届かない実装に関してもシミュレーションができるよう多数の装置を揃えています。

ここまで顧客に入り込める準備があるのも驚きですが、レゾナックではなんとソリューション提案用の設備まで用意しています。

右の写真がパッケージソリューションセンターという施設で、川崎市へ2019年に設置しました。

ソリューション提案の実験場としての役割だけではなく、オープンイノベーションも積極的に推進するなど、技術に貪欲な姿勢がうかがえます。

レゾナックの業績推移

レゾナックの直近の業績推移を見ていきます。

四半期ベースの売上高と営業利益のグラフを見てみると、売上高は概ね横ばいなのに対し、営業利益が乱高下していることがわかります。

強い会社なのに業績が振るわないとはどういうことかを紐解くために、もう少し深堀していきましょう。

こちらはセグメント別の営業利益推移です。2023年にセグメント分けをしたため、5四半期分の業績になっています。

こちらを見ればわかる通り、レゾナックの営業利益は半導体・電子材料の市況に大きく左右されることがわかります。

元々半導体業界自体が好不況の波が激しい業界なんですが、ちょうど2022年から2023年後半の時に半導体不況が起きました。

つまり2023年第1クオーターはその影響をモロ取りが問われるといえます。

レゾナックが求める人材

レゾナックがどのような人材を求めているかを紹介します。レゾナックは今後の目指す姿として下記2つの姿を掲げています。

  • 世界トップクラスの機能性化学メーカー
  • 共創型化学会社

世界トップクラスの機能性化学メーカーというのは、ここまでの解説で伝わったと思いますが、もう一つ、共創型化学会社というものを掲げており「志をともにする仲間と」というような理念に触れる文言が数多く書かれています。

変化が激しい現代社会の中でもレゾナックはことさら変化の速度がはやいことは容易に想像がつきます。

レゾナックは会社や部門といった壁になりがちなものを超えて協力でき、かつ変革に対応できる人材。さらにそれを超えて変革をリードする人材を求めています。

元々レゾナックにいて重点領域に在籍していない方にはつらいかもしれませんが、チャレンジスピリットが高い学生の方や、理念に共感できる中途希望の方はレゾナックにチャレンジしてみるのもいいかもしれません。

最後にレゾナックの年収です。

数値はレゾナックの有価証券報告書から持ってきています。

平均年収は1026万円とかなりの高年収ですが、従業員数が348人となっています。これは、ホールディングスで働く人の年収であって、メインの事業部門で働く人の年収ではないことに注意が必要です。あくまでも参考値になります。

また、レゾナックの初任給は化学メーカーでは概ね平均レベルとなっています。

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