今回の記事では化学メーカーの営業利益率をランキング形式でお届けします。
営業利益率は、企業の収益性を表す指標のひとつとして重要です。
しかし、世の中にある企業ランキングは売上高や営業利益のランキングがほとんど。
そこで今回は営業利益率でランキングを作成してみました。
普段目にするランキングには入ってこない企業がたくさんありますので、ぜひ最後までご覧ください。
動画で説明:化学メーカーの営業利益率ランキング・トップ20を紹介!
動画で見たい方はこちらからどうぞ。
営業利益率ランキングの作成方法

ランキングの作成方法から説明します。
営業利益率の出典元は、2025年1月1日時点での最新の決算資料から抜粋した売上高と営業利益をもとに計算しています。
対象企業は、東証の上場企業における業種分類が化学の企業で合計211社です。
なお、各企業の市場はプライム、スタンダード、グロースと全ての市場を含んでいます。
化学セクター企業の営業利益率分布

まずは、化学セクターに所属する企業の営業利益率の分布を見てみましょう。
通常、営業利益率は10%を超えると優秀といわれます。
下記で、化学セクターの企業211社を営業利益率別にまとめてみました。
- 10%越え:52社(全体の4分の1)
- 20%越え:7社
- 30%越え:2社
製造業、特にスケールがモノをいうことが多い化学セクターは営業利益率の面では苦戦しがちです。
化学セクターの売上高ランキング

次に、営業利益率の話に入る前に売上高のランキングを見てみます。
1位から20位までにランクインした企業は少し化学メーカーの知見がある方ならほとんど知っているのではないでしょうか?
化学セクターの営業利益ランキング

さらに営業利益のランキングも見てみましょう。
1位の信越化学が約7000億円と飛び抜けているものの、そのほかは有名な大企業が出てきています。
下記から営業利益率ランキングの順位と共に、企業の概要も簡単に説明していきます。
化学業界・営業利益率ランキング 11位~20位
第20位:東京応化工業

営業利益率ランキングの第20位は東京応化工業、営業利益率は14.0%になります。
東京応化工業といえば、フォトレジストの世界シェアトップ企業で有名です。
ほかにも半導体用の高純度化学薬品や、後工程材料も手掛けています。そのラインナップから実質、半導体材料専業メーカーといえるレベルです。
第19位:小林製薬

営業利益率ランキングの第19位は小林製薬、営業利益率は14.9%になります。
小林製薬は化学メーカーの中でも身近な製品を数多く作っているBtoC型の企業です。
小林製薬独自のビジネスモデルとしては市場にないものを作り上げ、新たな需要を開拓していることが挙げられます。
競争を避けることで、高い営業利益率を上げられるというわけです。
第18位:日東電工

営業利益率ランキングの第18位は日東電工、営業利益率は15.2%になります。
テープを祖業とする国内大手の加工材料メーカーです。
近年では、オプトロニクスと呼ばれる光学・電子材料用途が稼ぎ頭です。
日東電工といえばニッチトップ戦略が有名で、勝てる市場でトップを取りに行くという戦略が営業利益の高さにつながっています。
第17位:未来工業

営業利益率ランキングの第17位は未来工業、営業利益率は16.6%です。
電気設備資材のプラスチック加工品メーカーで他社と同じ製品を作ることを徹底的に避けることで価格競争を回避し、高い営業利益率につなげています。
また、未来工業は日本一のホワイト企業として度々取り上げられており、残業ゼロベース、年間休日140日以上、定年70歳制、従業員全員が正社員など従業員が働きやすい制度を整えています。
第16位:ウルトラファブリックスHD

営業利益率ランキングの第16位はウルトラファブリックスホールディングス、営業利益率は16.8%になります。
合成皮革の専業メーカーですが、高級グレードに特化した戦略で高い営業利益率をキープしています。
そのため、代表的な競合他社の旭化成やクラレ、帝人、東レなどと比較すると合成皮革事業の利益率が頭ひとつ抜けています。
第15位;トリケミカル研究所

営業利益率ランキングの第15位はトリケミカル研究所、営業利益率は17.3%になります。
半導体や光ファイバー用の化学材料を手掛けるメーカーで、ウルトラファインケミカルと呼ばれる超高純度の化学品を特色にしています。
第14位:太陽HD

営業利益率ランキングの第14位は太陽ホールディングス、営業利益率は17.4%です。
ソルダーレジストと呼ばれるプリント基板向けの絶縁材料で世界トップシェアを誇っています。
ソルダーレジスト以外にも医薬やファインケミカル、エネルギー事業、食料事業など様々な事業を手掛けており、機能性材料の総合メーカーになりつつあります。
第13位:メック

営業利益率ランキングの第13位はメック、営業利益率は17.8%になります。
金属の表面処理剤を手掛けるメーカーです。
主力は密着性向上剤とエッチング剤で、この2つで利益のほとんどを稼いでいます。
第12位:旭有機材

営業利益率ランキングの第12位は旭有機材、営業利益率は17.8%です。
事業の中心は樹脂バルブですが、樹脂の原料からバルブの実装までを手掛けるトータル提案を強みとしています。
また、旭有機材は経済産業省の認定するグローバルニッチトップ企業にも選ばれています。
第11位;ノエビアHD

営業利益率ランキングの第11位はノエビアホールディングス、営業利益率は17.9%です。
「自然を科学する」というフレーズでおなじみの化粧品メーカーです。
化学セクターには化粧品メーカーが数社ありますが、同業種の資生堂やコーセーよりも利益率が高いです。
営業利益率ランキング 11~20位まで一覧

ここまでで11位から20位までの紹介が終わったので、営業利益率をまとめました。
営業利益率だけを意識すると、どちらかといえば小規模の企業が多いことが伺えます。
それでは次はいよいよ10位の発表になります。
化学業界営業利益率ランキング 10位~1位
第10位;上村工業

営業利益率ランキングの第10位は上村工業、営業利益率は18.7%です。
メッキ用薬品が主力のメーカーで、様々な分野に展開しています。
一番の利益源はウエハーアンドパッケージ基板分野です。やはり半導体用途は強いですね。
第9位:扶桑化学

営業利益率ランキングの第9位は扶桑化学、営業利益率は18.8%です。
国内唯一の果実酸総合メーカーという珍しい企業ですね。
とはいえ、高利益の中核は機能性材料で超純度コロイダルシリカが世界トップシェアです。
コロイダルシリカは、シリコンウエハーを研磨する際に使用されるCMPスラリー中の研磨剤として使われます。
第8位:日油

営業利益率ランキングの第8位は日油、営業利益率は19%です。
「バイオまで宇宙まで」のキャッチコピー通り幅を広めにしている化学メーカーで、医薬品化学をベースに各種機能性材料やドラッグデリバリーシステムなどの医療分野、そして化薬関係など幅広い事業を展開しています。
営業利益率の高さに貢献しているのは、機能性材料と医薬医療分野です。
第7位:伊勢化学工業

営業利益率ランキングの第7位は伊勢化学工業、営業利益率は20.1%です。
世界の約15%の尿素を生産する世界屈指のヨウ素サプライヤーです。
なお、尿素は日本が第2位の産出国を誇っており、日本が資源国となっている数少ない原料の一つです。
このような背景から原料の希少性と円安メリットを享受できるため、近年では高い利益率を誇っています。
第6位:コタ

営業利益率ランキングの第6位はコタ、営業利益率は21.0%です。
コタは美容室向けのシャンプーなどを手掛けるメーカーです。
美容室での対面販売のみ行い、一般消費者には販売しない独自のビジネスモデルから高い営業利益率をキープしています。
会社の設立が1979年、東証プライム入りが2013年と老舗の多い化学セクターの中では比較的新しい企業でもあります。
第5位:松本油脂製薬

営業利益率ランキングの第5位は松本油脂製薬、営業利益率は21.1%です。
界面活性剤を主力事業とするメーカーです。
特に染織を中心としており、紡績からのり付け、精練、染色、最終加工に至るまで全行程に関わる専用化学品を手掛けています。
第4位:日産化学

営業利益率ランキングの第4位は日産化学、営業利益率は21.3%です。
化学メーカー屈指の高収益企業として投資家の間で有名な企業です。
過去20年の営業利益、営業利益率ともに右肩上がりで、非常に順調に成長しています。
利益の主軸は機能性化学品と農薬で、機能性化学品は半導体用途やディスプレイが中心です。
第3位:信越化学工業

営業利益率ランキングの第3位は信越化学工業、営業利益率は29.0%です。
化学セクターどころか、日本屈指の高収益企業として有名です。
信越化学の主力は塩化ビニル樹脂とシリコンウエハーの2つといわれていますが、ほかにも数々の製品で高いマーケットシェアを持っています。
営業利益率だけでなく、売上高、営業利益、時価総額、財務の健全性などあらゆる面で高い水準を誇るまさに唯一無二の存在といっても差し支えない企業です。
なお、世界の化学メーカーにおける時価総額ランキングは第4位とのことで、すさまじいですね。
第2位:デクセリアルズ

営業利益率ランキングの第2位はデクセリアルズ、営業利益率は31.8%です。
元々は電機メーカーであるソニーの子会社でしたが、2012年に独立しました。
デクセリアルズは光学用材料と電子材料に特化しており、反射防止フィルムや光学弾性樹脂、異方性導電膜など市場シェアの高い独自製品を数多く保有しています。
また、デクセリアルズは2019年から2024年までの5年間で株価10倍、いわゆるテンバガーを達成した企業でもあります。
第1位:JCU

営業利益率ランキングの第1位はJCU、営業利益率は32.3%です。
メッキ薬品を主軸にしており、薬品事業で営業利益率が40%程度という非常に高い水準を誇ります。
JCUには、他社との差別化ポイントが大きく3つあります。
- 国内従業員の4割が技術系
- メッキ装置とメッキ薬品の一体販売を行っている
- 業界で唯一メッキ処理として薬品を使用するウェット処理とプラズマを使用したドライ処理の両方を手掛けている
上記のポイントにより、JCUにしか提供できないサービスが高収益の源泉となっています。
営業利益率ランキング 1~10位まで一覧

最後に、営業利益率ランキング1位から10位のまとめです。
成長市場やニッチ市場に特化した企業がほとんどを占めます。そう考えると、信越化学の数値の異次元さが際立ちますね。
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